インプラントとは何ですか?
インプラントはチタン製あるいはチタンにアパタイトをコーティングした細い棒を、歯を失った部分の顎の骨に穴を開けて埋入し、骨と結合した時点で人工の歯を連結してかむ部分を回復する技術で、自分の歯に最も近い感触でかむことが出来ることから第2の永久歯とも呼ばれています。ただしいくつかの注意点もありますので、当院では医学的に適応症かどうか、患者さんのご希望に合致しているかどうかを見極めながら治療を進めていきます。

インプラント不適応の方
すべての方にインプラント治療が出来るわけではありません。以下の項目に適合する場合、インプラント治療はお勧めしません。
他の方法を選択した方が安全です。
- 顎の骨の幅や厚みが不足している(ただし骨を移植することにより可能です。専門病院への紹介となります。)
- 高血圧、糖尿病など全身的な健康状態に問題がある
- 歯ぎしり・食いしばりが激しい(マウスピースを就寝時に装着してもらいます。)
- 口の中の手入れが悪く、歯周病やむし歯がコントロールできていない方
- ヘビースモーカーの方(血のめぐりが悪く、傷の治りが遅くなります。)
- インプラント処置後の定期チェックに来院できない方
CTを撮影し、安全・安心な手術
当院ではドイツ製のアンキロスインプラントとアメリカ製のカルシテックを主として採用しています。
慶応大学医学部口腔外科の専任講師の指導の下に治療を行っています。事前に顎の骨のCT撮影を行い、指導医のチェックを受けた上で安全に手術が行えるように配慮しています。

術前にCTレントゲンを撮影して骨の状態を必ずチェックする
歯を削ることなくしっかりかみ合わせを回復できる
残念ながら一本の歯を失ってしまった場合、放置すると隣の歯が傾いたり、かみ合う歯が伸びだしてきたりします。
歯は隣の歯と支えあい、上の歯と下の歯でかみ合い、高さを維持しています。抜けたまま長期間放置するとさらに問題が大きくなってしまうのです。
両隣の歯を利用し、ブリッジという方法でかみ合わせを回復する手段もあります。しかしながら、両隣の歯が健康な歯であった場合に、削ってしまうのは非常に残念です。
健康な歯を削るのは我々医療に従事するものにとっても心が痛むことなのです。
インプラントを用いた治療であれば、健康な歯を犠牲にすることなくかみ合わせを回復することができます。

インプラントなら周りの歯に負担をかけません
従来は歯を失った場合、ブリッジや義歯(入れ歯)を作っていました。ところが、ブリッジは失った歯をはめ込むために両隣の歯を削ることにより、削った歯の寿命が短くなることがあります。また、義歯(入れ歯)は、堅い物をかむと痛みがあったり、かむ度に入れ歯が動いたりして、必ずしも快適な使用感が得られる訳ではありません。また、抜けた本数が多い場合には、義歯を支える歯にも大きな負担がかかってしまいます。
インプラントなら、周りの歯に負担がかからず、インプラントを入れていること自体を忘れてしまうほど自然な装着感です。
入れ歯・ブリッジとの違い
入れ歯
残っている歯に針金をかけて失った歯を補う方法で、取り外し式です。針金が見えてしまったり、小数の欠損でも支持部が必要なので異物感がでてしまいます。また、取り外す回数により健康な歯に傷ができることさえあります。全ての歯を失ってしまった場合は、歯茎で人工の歯を支えることになります。顎の骨が退化している場合は安定が悪くなります。人により異物感がひどくあり、嘔吐反応がでる場合があります。
ブリッジ
ブリッジとは、歯を失ってしまった箇所を補うために両隣の歯を一回りずつ削り、歯を失ってしまった箇所に取り外しのできない入れ歯を入れる方法です。この治療法には保険が適用されます。ただ周囲の健康な歯を削る必要があります。また、食べかすが詰まってしまい歯槽膿漏やむし歯の原因になる可能性もあります。保険内でのブリッジの場合、笑うと銀歯が見えることもあります。費用をかけることにより、見た目に美しく仕上げることも可能です。
インプラント | ブリッジ | 義歯(入れ歯) |
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特徴 | ||
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<部分入れ歯>
<総入れ歯>
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費用 | ||
ご質問やご相談はお気軽に。 |
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インプラント手術の流れ
インプラント自体はむし歯にはなりませんが、インプラント施術箇所(口腔内も含む)を清潔に保たないと、インプラント歯周炎により周りの歯肉が駄目になってしまいます。
インプラント手術後は、天然歯以上に、毎日のケアが重要になります。
歯科医院にて医師や歯科衛生士によるケア(お口の掃除)と正しいブラッシングができない状態ですと、せっかくのインプラントも数年しか持たないということもあります。
正しい歯磨きの習慣を身につけてからインプラント手術をされるのが理想です。
また、インプラント手術後も歯科医院でのメンテナンスが必要になります。
検診・メンテナンスを怠りますと当歯科医院では保証の責任をもてなくなります。
当歯科医院では、インプラントの維持のための検診・メンテナンスを受けることに同意して頂いてから手術をおこないます。
インプラント手術 2回法
1.埋入手術(1回目の手術)

十分な麻酔のもとフィクスチュアーを埋めます。これがインプラントの土台となります。
歯茎を少し切開し、顎の骨を包んでいる粘膜をはがし小さな穴をあけます。骨はネジ式にフィクスチュアーと合うようになっています。そこにフィクスチュアーを埋入し、2次手術に備えフィクスチュアーにカバーをかぶせます。
2.縫合

歯肉を上から閉じ合わせ、フィクスチャーを完全に埋没させます。
3.骨結合を待ちます

インプラントとあごの骨の結合を3~6ヶ月待ちます。
出来るだけ仮歯を使ってより快適に過ごしていただきます。
4.つなぎ目をつける(2回目の手術)

歯となる部分とのつなぎ目(アバットメント)をつけます。
インプラント2次処置、土台のための型とり(埋入処置後、約3~6ヶ月後を予定)
5.人工歯をかぶせる

仮歯を外し、完成した人工の歯(上部構造)をつけます。
メンテナンス
治療終了後も、継続的なメンテナンスが必要です。
インプラントの具合が悪くなったら
残念ながらインプラントはすべての方が一生使用できるわけではありません。
なかには除去しなければならないケースもあります。
インプラント除去は多くの場合「自分の歯」を抜くのと同じです。
インプラントを除去した場合、ほとんどの方が「再びインプラント治療」を希望されます。
その際はインプラントを抜いた部位の骨の回復後、再度インプラント治療を行います。
ただし、骨の吸収が進んだ場合には再度のインプラント治療が不可能な場合があります。
※インプラントが悪くならないように手入れを行い、定期健診を受けましょう!
インプラント治療例
治療例1

治療中

治療後